沖縄で海を見ながらプログラミングしてたい

主に趣味のmake関係の事など。

三線自動演奏機を作ってみた(後編)

前編のあらすじ。

いろいろ検討して作ってたけど、展示までラスト一週間で完成してなくてやばい。

 

 

5.全体動作確認とプログラム

一通り材料は揃ったので、三線に取り付けて動かしてみた。

箇条書きした方がいいほどの問題が出てきた。

・弾いてる機構からノイズ音が出る

・ちゃんと音を鳴らすための弾く部分がステッピングモータだとトルク不足っぽい

・押さえているとこもトルク不足っぽい

・プログラムがちゃんと動かない(どうもいくつかのバグとArduino仕様の制限が重なっていたっぽい)

・弦を押さえる瞬間と離す瞬間に弦から音が出る

 

あはははー。

思い出したら、一応解決したはずなのにあの時の焦りが甦ってきた。

 

とりあえずプログラムのバグを直しつつ、ステッピングモータの調節をしてみたが、よく分からない。

一個直った所で他の問題が解決出来るとも限らないので、(もしかするとバグのせいでうまく制御できなくてトルク不足に見えていた可能性はあるが)思い切ってアクチュエータを変更しサーボモータで動かす事にした。

サーボならArduinoで動かすのは簡単だし、トルクも十分だ。設計はやり直さないと行けないけど、きっと間に合うさ…。

この時点で2日前。

 

 

6.ラストスパート

とりあえずモータの取り付け部分の設計変更だけして、もう一度動作確認。

なんとか音が出た。

安心感から「よし!ようし!」って言いながらガッツポーズ。

その後、設計を微調整と、プログラムのパラメータを調節したりで、当日の朝を迎えたのでした…。

 

(「三線自動演奏機を展示してみた」に続く)

 

 

 

三線自動演奏機を作ってみた(前編)

MakerFaire Tokyoに出したやつの製作記を書いておきます。

 

1.アイデア出し

まず作るのを決めるところから。

以前作った「動物(象、ヤギ、サイなど)のおしっこの出し方を再現する装置」の改良版にしようと思ってたけど、水の扱いとか申請の時点で却下されそうな不安があったので、無難なやつにする事にした。

で、結構いろいろ考えた結果(これについては後編の最後に)、申し込みの直前に三線自動演奏機を作る事に決定。

 

2.原理検討

作りたいものが決まったので、どのように実現するかを考えた。

そもそも作ろうと思ったきっかけは沖縄の物産品店「わしたショップ」の前にある三線自動演奏機。これを見て、家で眠っている三線を有効活用できるなと思ったのが最初。

 

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 ↑どうも一年中外にあるみたいだし、常に動いているので耐久性を持たせるため結構がっちりと作られている。

 

最初は似た作りでもいいかなと思ったけど、真似するのも嫌だし、押さえるところ(勘所)ごとにアクチュエータが必要なので、お金がかかる。一個あたり1000円だとしても1万円である。

また、その分重くなってしまうし、場所も取るので、違う方法を考える事にした。が、あまりいい方法が思いつかなかった。

そんな時、楽器に詳しい先輩に相談すると「全部一緒に押さえればいいんじゃない?」というアイデアを頂いた。

確かに三線は一度に一弦しか弾かないので、同じラインを押さえてしまっても問題なさそうである。

弦を弾く部分も違う原理でやりたかったのと、一つのバチで高速に弾けるか不安だったので、各弦ごとにアクチュエータを用意することにした。

 

3.アクチュエータ検討

原理が決まったので、実際に使うアクチュエータを検討した。

 

ソレノイド:応答速度速い、モータと比べて高い

サーボモータ:トルクは出る、ギアの音が気になる

ステッピングモータ:他と比べて安い、静か、制御が面倒

 

こんな所だったかな。

もしかするとこれらの特徴が逆転している製品もあるかもしれないけど、秋葉原とかネットで簡単に買えそうなやつはこういう傾向だった。

そこで、まずはステッピングモータで検討してみる事にした。失敗したとしても安いのでダメージは小さい。

安価、小型、高トルクだったのは共立エレショップで売られてたやつ。

http://eleshop.jp/shop/g/gCAN362/

 

これに秋月電子で売られていたArduino用のモータドライバシールドを使う事にした。

http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-07748/

 

弾く部分と押さえる部分で、簡単に治具を作って試したところ、なんとか行けそうな感じだったので、必要な分+α購入。

この時点で10月入ったくらい。

 

 

4.機構設計

動力が決まったので、機構を考えた。

よく考えたら、最も経験がない&自由度が高い。

どのように三線と固定するか、どういう機構で弦を押さえたり弾くか、どのくらいの大きさ、幅、厚みで作れば良いか。

ここが一番大変だった。

スケッチ→設計→3Dプリンタ出力→失敗→設計修正→ 3Dプリンタ出力→失敗

の繰り返し。

なんとかすべてのパーツを作り終えたときには本番1週間前くらいになっていた。

あっという間じゃないか。

(後編に続く)

怪我

そういえば、先日、夜にセットしたブツを朝起きて会社行く前に外そうとしてスクレーパーでやっちゃいました。

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それからは付属の手袋をするようにしています。皆さんも気をつけて…。(他に聞いた事ないから私だけだと思いますが)

3Dプリンタ購入

MakerFaireに行ってテンションがあがり、勢いで3Dプリンタを購入しました。

買ったのはAfiniaのH479という機種。
(今気づいたんですが本家ではH480という新機種が出てます)

Afinia H-Series 3D Printer, 3D Printing and Rapid Prototyping


amazonの代理店経由(国内サポート、日本語マニュアル付き)で購入しました。

ちなみに「UP!Plus 2」という(OEM?)製品もあって性能、価格は同じです。
が、どうもこちらは「プレートの自動水平補正と高さ調整用機具」がついてくるみたいです。
同じという噂だったのにH479は付いてこなかった…。

(ソフトにメニューはあるので使えるはず)

とは言っても、造形精度は「とても良い」です。

友人に頼まれてPerfumeのデータを出力してみましたが、ネットにあがっている他の機種(Cubeやダ・ヴィンチ)の出力結果と比べてもダントツにいいです。

 

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左が仰向けに印刷したもの。右が足を下にして印刷したもの(サポート材除去済)。

足を下にするとハイヒールとか手の指が折れてしまったので、頭を下に印刷したものもありますが、それが一番良かったかも(写真撮り忘れてしまった)

 


スペックや付属品など詳しいことは他の人が書いているので、その他、現時点で気づいたことを書いておきます。

・ソフトは公式サイトから最新版をダウンロードすべし
セット一式にソフトの入ったCDが同梱されていたのですが、バージョンが古く、Macだとフリーズしまくって使い物になりませんでした。
公式からダウンロードできるので最新版をインストールしましょう。

・高さの確認はセンター経由で
自動調整できないので、自分で四隅と真ん中にノズルを持っていってそれぞれで高さが適切か見る必要があります。
このときに、プレートをクリップで留めた状態で右上→左上などに動かすと、ノズルがクリップに引っかかり、「ガガガガガ!!」と心臓にものすごく悪い音を立てて無理やり移動しようとします。
一回真ん中を経由することで引っかからずにノズルを移動させることが出来ます。
(N字型に移動させてもいいのですが、うっかりZ字に動かしそうなので必ずセンター経由にしています)

・デフォルト設定
出力時の設定で、サポート材をどういう条件でつけるかを選べるんですが、初期設定が水平面から10度以下で飛び出ている場合に付くようになっていました。
これだとかなり出っ張っている物体にもサポート材が付かないことになってしまうので、とりあえず50度に設定しています。

これでヨーダの耳失敗しましたが、Perfumeは良好です。

・まぁまぁ静か
Cube Xを使ったことがありますが、終始モータの「ピロリロリーピロリロリー」という音がしているのに比べて、モータの音が聞こえるのはz軸のモータが動くときだけです。
ファンの音が少しうるさく感じるかも知れないです。

・出力終わってもファン回りっぱなし
なぜか出力終了しても回りっぱなしでうるさいです。特に寝る前にセットした時。
ノズルが冷えたら止まってくれるとうれしいのですが…。

・サポート材の取りやすさ
やたら取りやすいです。複雑な部分はペンチ等を使う必要がありますがCubeとは雲泥の差です。月とスッポンです。
本体との接点のバリもあまり気になりません。

・少しこげる
造形に関する唯一の欠点。
出力されたフィラメントがたまに少し浮いてると、次にそこを通ったノズルと触れて、こげます。解決策は不明です。
こげる部分は全体の1%くらいでしょうか。上の写真ののっちは少しこげてます。

 

なんだかんだ書きましたが大満足です。

Cube Xを使った時は本当にストレス半端なかったです。それと比べると安心感があります。
定番のヨーダperfumeを出力したので、次は四角いものを出力してみたいと思います。

Maker Faire Bay Area 2014 に行って来た その3

もしかしたら来年のmakerFaireを見に行きたいという方がいらっしゃるかもしれないので、どんな感じで行って来たかというのを書きます。(行く前にこういう情報が欲しかった…)


1.旅行日程
今回はついでのサンフランシスコ観光を兼ねた3泊4日で行ってきました。

16日  0:05 羽田発
15日 17:25 サンフランシスコ着
16日 終日市内観光
17日 Maker Faire一日目
18日 Maker Faire二日目
  19:10 サンフランシスコ発
19日 22:20 羽田着(実際には30分ほど速くついた) 

予約は3月頭に行いましたが、飛行機の席は少し余っていました。
仕事等で先の予定が立てられない方も、予定が合えば直前予約で行けると思います。


2.ホテル
Millbrea(ミルブレー)というBARTの駅近くの「BEST WESTERN PLUS El Rancho Inn」というホテルに泊まりました。
HISから飛行機と一緒に予約出来たので楽でした。
良かった点
・比較的安い
・駅との間に飲食店やスーパーがあって、帰りに夕食や買出しが出来る。
・現地に着いて知ったんですがMillbrea駅と会場の間を無料シャトルバスが出ていて移動が楽(たぶん10分おきくらい。会場までは渋滞がなければ20分弱)
・ホテルの人いい人。かなり片言の英語だったと思うけど親切に対応してくれました。部屋も清潔。
・朝食なしプランだったけど無料で軽食が食べられた。

悪かった点
・ホテルと駅の距離が若干離れている(徒歩20分くらい)



3.使ったお金
航空券+ホテル 135,160円
前売り券    $50
食事代     1食$10~$20
お土産代    多分1万円くらい

合計 16万円くらいだと思います。


5.気候
昼と夜の寒暖の差が激しいですが、日没が20時頃なので日が出ている間に行動することが多かったです。
日中は半そでTシャツ、朝と日没しちゃった時用の長袖が1枚あれば足りるかと思います。
ちなみに日中はほぼ快晴で日差しが強かったので、日焼け止めがないとこうなります。

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Maker Faire Bay Area 2014 に行って来た その2

その2
現地で感じたことをMaker Faire Tokyoとの比較をしながら考察してみます。

1.子供の見学者、展示者が多い
日本からの参加者が最初に感じるのは、これじゃないでしょうか。
親子連れで参加されている方が非常に多いです。親子3代で参加されている方もたくさんいました。
出展者も小学生くらいの子どもが自分でモノを作って展示・販売していたり、学校や課外活動でみんなと一緒に作ったものを出展しているコーナーもありました。
みんな自分が作ったものを堂々と説明していて、力強さを感じました。

一般ブースにも子供が多い


2.展示の幅広さ
日本の展示だと、電子工作、ロボット、手芸などが多いのですが、こちらではそれ以外の展示のバリエーションが多いです。
鉄で作った造形物から火を噴かせたり、自転車を改造して作った乗り物、ロボット同士の対決、アメリカ人大好きスチームパンクNASAやフォードなどの大企業系、HANDS-ON HOMEGROWNと呼ばれる(日本語にうまく訳せない)家庭で作った鉢植え、はちみつ、キノコなどの展示即売、いろんな種類のワークショップ(ミニカーなどの子供向け工作、Tシャツにシルクスクリーンで印刷、空気圧ロケット作り)などなどがありました。
幼稚園児からおじいちゃん、おばあちゃんまで、すべての年代の人が楽しめるってすごいです。
開場前に係の人が「ロボット見に来た人ー!3Dプリンタ見に来た人ー!」と手を上げさせて盛り上げていたのですが、「HANDS-ON HOMEGROWN見に来た人ー!」のところで家族で来ていたおばあちゃんが「私はそれを見に来たのよ!!Yhea!!」と元気良く手を上げていて和みました。

買う気なかったから試食しなかったけど、なにか味見しとけば良かったなー。


3.でかい
でかいの多いです。
火を噴くやつはだいたいでかいです。
テスラコイルもでかいです。
ヘビロボットもでかいです。
キリンもでかいです。
アメリカはこういうの作るスペースがあってうらやましいなと思ったんですけど、日本にもクラタスがあるし、やる気と文化の違いかもしれません。
で、気づいたんですけど、これらって初お披露目がネバダ州の砂漠で行われるバーニングマンだったり、そこに持っていってたりしているみたいなので、そこの影響が大きいのは間違いないかと。
日本だとニコニコ動画で話題になったやつの出展が多いのと似ているでしょうか。



4.広い
そういったわけで、会場が広いです。
全部見て回るのに1日では無理です。



5.日本の出展者
日本からの出展者も多かったです。
大手の企業からはソニー東芝が出展されてたようなんですが、見つけられず…というかどちらもロゴはちらっと見た気がするので他のがあまりにも濃すぎて見逃したのかも知れないです。すみません。
弊社もMakeというコンセプトに合っていてアメリカで受けそうな商品あるので出展してみるといいのにと思ったり。

日本のベンチャー企業も多く出展してました。

6.入場料
MakerFaire Tokyoの入場料は前売りで一日1000円、BayAreaは$27.5(2日セットで$50)です。
会場の使用料などは分かりませんが、BayArea並みに大きい規模でやるとそれくらいになる可能性があるかなと。
個人的には多少高くなっても規模が大きいほうがうれしいです。


7.今後の発展
というわけで、日本とは結構違う雰囲気だったのですが、2007年に行った方がまとめている記事を見つけました。

Maker Faire BayArea 2007レポート (再録): からくりP雑記帳
みずよん様ありがとうございます。


読むと集まっている年齢層とか今の日本でのMakerFaireとあまり変わらない雰囲気を感じたので、この数年で変化していったようです。
今後日本のMakerFaireもどのように変わっていくのか、楽しみです。
デザフェスと合わせてビッグサイトで開催してくれると、結構幸せになれると思うのですがいかがでしょうか。